半生

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1.幼年期

父親の顔は知らない。 物心ついた時には、母親と弟の3人暮らしだった。 いや、一度だけ写真を見た記憶がある。思えば、今の自分と似ていた気がする。 離縁の理由は父親の不貞らしいが、長年見る彼女の動向からすると、真偽の程は解らない。 若くして二人...
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2.少年期

ピカピカの一年生だ。 進学した中学校は『校則』で皆が坊主頭だった。桜並木が綺麗な古びた木造の校舎で、何もかもが時代遅れと言ってよかった。今年が最後と言われ続けた、先代からの愛着を受け継いで、新しい学生生活が始まった。 背は前から二番目。体格...
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3-①.青年期

砂で薄汚れた木の下駄箱へ、真新しい靴を放り込む。 初登校日である。中学校までは、小さい頃からの幼馴染ばかりで、気心知れていたが、今日からは違う。周りの威圧的な髪型や制服に気圧され、『初めの一歩』は完全に出鼻を挫かれてしまった。 教室に入り、...
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3-②.青年期

あのゲームセンターで起きた、様々な喧噪の日々は、今も尚、強く記憶に残る。 当時、『ゲーセン』と言えば、『ヤンキーグループ』の溜まり場となるのが通常だ。しかし、その聖域に集うのは、我ら『オタッキー軍団』だった。しかも、学校の『ヒエラルキー』最...
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3-③.青年期

『テーブルトーク』というゲームがある。 週末に大勢が集合した時は『テーブルトーク』と相場が決まっていた。このゲームは、ストーリーが描かれたルールブックを基に『マスター』と呼ばれる進行役が、己の発想と機転で『冒険者』を独自の世界へ導き、クエス...
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3-④.青年期

『俺は彼女をつくる!』 仲間の一人が、高らかに宣言した。 やはり、思春期の男子生徒における『一大目標』はこれだろう。ましてや『男子校』だ。その難易度は『共学』に比べれば、大きく跳ね上がる。その日以来、彼は他校の女子生徒と知り合う度に『無謀』...
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3-⑤.青年期

学生時代は、慢性的な『金欠病』だ。 如何に地道な遣り繰りをしても、何かしらの収入を得なければ、ジュース一本買え無くなる。特に自分達の『主戦場』は、ゲームセンターだ。日々の交遊費を稼ぐため、各々、多種多様な『お手伝い』に奔走していた。 通って...
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3-⑥.青年期

『就職活動』の時期が来た。 自分が通っていた工業高校は、生徒の多くが進学せず、就職を選択した。そのため、3年生の中期以降は、時間の大半を『就活』へ注力する事になる。ファイリングされた求人案内を閲覧し、或いはこの先、一生お世話になるかも知れな...
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3-⑦.青年期

約1年ぶりの帰郷だった。 他県で就職してからと言うもの、公私共に新しい経験の連続で、地元の友人達とは連絡すら取り合っていなかった。初賞与を叩き車の運転免許を取得して、安い中古車を購入後、ようやくその年末に満を持しての里帰りとなった。 自分は...
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3-⑧.青年期

他県での丁稚奉公を終え、ようやく地元に舞い戻った。 自分は20代半ばを迎え、所謂『遊び盛り』だ。有り余る体力と脆弱な財力を注ぎ込み、睡眠時間を犠牲にしながら、刺激を求めては町をうろつき廻っていた。 その頃は親友が所属する『市リーグ』のサッカ...