生活

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1-①.離別編

『・・もう、無理』 第一声だった。 馴れ初めは、友人の紹介によるもの。あの頃は、今では考えられない位、盛欲的だった。知人・友人に片っ端から『良い人が居たら紹介して』と必死に種蒔きをしていた。 その甲斐あって、妻となる女性と知り合ったのだが、...
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1-②.離別編

壊れて飛散した破片を集める様な日々を送った。 元通りには戻らないと確信しつつ、それでも足掻き、時には分かり合い、そしてまたすれ違う。次第に気持ちは離れていった。 『自分に逆らってはいけない』、『自分の言う事は絶対だ』、この思いが強すぎて、反...
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1-③.離別編

差出人が明記されてない、一通の封筒が届く。 最初に見つける事が出来たのは、幸運と言う他ない。その内容は、到底、妻に見せられない内容だった。 『あなたは、しては行けない事を、やってしまいました。私達の関係は、もう親でも無ければ子でもありません...
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1-④.離別編

随分と久方振りの一人暮らしだ。 他県へ転勤となり、一ヵ月が過ぎようとしていた。この期間は仕事に追われ、自分の事で精一杯であり、家庭を顧みる余裕は無かった。妻も一人で、仕事・家事・育児に忙殺される毎日だった。 この転勤は、双方決して口に出す事...
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1-⑤.離別編

『予想外の一言』では無かった。 妻はその言葉を発した後、俯き、頭を抱えたまま無言となった。自分も二の句が継げず、重苦しい沈黙の時間が流れる。初手を誤れば一気に傾き、終わるだろう。だが、この状況を打破しなければ、何も進まない。慎重に言葉を選び...
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1-⑥.離別編

この一週間は、全てが上の空で過ぎ去った。 妻より『三行半』を突き付けられ、底知れない落胆の中、週末を迎える。取り敢えず結論は先送りで延命したが、敗色濃厚の展開に、家へ帰る足取りは殊更重かった。 『ただいま』 何時もは、強いて言わない。 『お...
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1-⑦.離別編

自らの行く末は、まだ前途多難と言う他無い。 『離別』が決まった以上、これから、その前準備を済まして置く必要がある。先達て、妻方の両親へ『挨拶』と『報告』をすべきと考えた。如何に本人同士の事とは言え『無言』で去るには、余りにも『お世話』になり...
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1-⑧.離別編

『7月3日』に離婚届を提出する事となった。 この日であれば、会社からの『扶養手当』が残り半期分も継続して取得出来るため、当初の予定より、若干先送りになる。新たに発生した多少の猶予は、二人の娘と『家族』として過ごせる最後の時間だ。公園で長女と...
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2-①.再起編

自分に残されたのは、無駄に大きな家と借金だけだった。 何時迄も落ち込んでは居られない。先ずは再度、生活を立て直す必要がある。家計は全て前妻に任せていたため、現状の収支が全く分からない。取り敢えず月の支払いを紙に書き出し、その種別と金額および...
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2-②.再起編

離婚してからは取り決め通り、2回/月程度、娘達に遊んで貰っている。現在の生活において、絶対に欠かせぬ大事な行事の一つだ。当初は金銭面でかなり困窮しており、如何に節約して二人と楽しむか、相当頭を捻ったものだ。 先ずは『ご飯』だが、低予算でなる...