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1.文房具店

東京駅での出来事。 その日は、組合で東京へ赴いていた。国会議員との会合を経て、国会議事堂や国立図書館等の見学を終え、帰路に着く所だった。 田舎者である。東京ともなれば、街はおろか、駅ですら迷うには十分だ。最後にお土産を買って帰る算段となった...
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2.たぬき

それは、キンモクセイが香る秋の夜だった。 体を動かすには、良い季節だ。日課の自転車通勤で、終業後、心地よい風に吹かれながら、何時もの道で家路に着いていた。 既に、夜の帳は下りている。田舎の道は細く暗い。街灯も疎らで、道中は自転車のライトを頼...
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3.千点棒

何時もとは違う、珍しい面子で卓を囲んだ。 高校時代は、週末となれば親友の家に赴き、離れの納屋で屯する事が通例だった。集まった人数で、遊びを決めるのがお約束であり、4人以上揃えば、大体『麻雀』に興じる場合が多かった。 連休初日の土曜だけに、思...
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4.桃源郷

ストレスと老廃物は溜まるものだ。 転勤先では『ウォーキング』が、ストレス解消法だった。昔から、自分に都合の良い妄想をして歩くのが最高の気分転換であり、更に『足ツボ』マッサージで疲れを癒し、心身共にリフレッシュするのが、ささやかな『楽しみ』で...
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5.小話集-①

何気ない日常でも、時には心に残る出来事が起きる。その第一弾をご紹介する。 【ATM】 何時も贔屓にしている銀行の『ATM』に、とある『特殊詐欺』対策が施された。それは、店の出口側に設置された180cm台の『警察官』パネルが、訪れたお客さんに...
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6.待ち人

昭和の通話手段は『電話』しか無かった。 今思えば、これは物凄い事だ。家族と共用で子機も無く、プライバシーもへったくれもない。電話線が届く範囲で影に隠れ、声を潜めて会話するのだ。家に居なければ『音信不通』となり、生死も分らない。待ち合わせとな...
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7.ジブリ

初見は『トトロ』である。 『逆襲のシャア』と二本立ての上映で『子供向け』と高を括って止む無く観たが、感想は『あれ?同じ位、面白い・・』だ。その後より、この世界観にどっぷり嵌って行く事になる。 ネットでは、ジブリ映画の『考察』が多数見受けられ...
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8.アップルパイ

リンゴの季節がやって来た。 数ある果物の中でも一番の好物と言って良いだろう。毎年11月頃、自宅から一時間程の山間にある『リンゴ園』で、甘く香り高い『さんフジ』を賞味するのが恒例行事となっている。うっかり時期を誤ると、あっと言う間に売り切れる...
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9.小話集-②

何気ない日常でも、時には心に残る出来事が起きる。その第二弾をご紹介する。 【早食い】 その日は、とある居酒屋で忘年会が行われていた。皆、すっかり酔いが回ってテンションは最高潮を迎えており、会社の若手が『タイマン』による、おでんの早食い競争を...
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10.カツラ

そろそろ人生も折り返しの年齢を迎え、身体の劣化も顕著になる時分である。 特に体力面の低下は著しい。筋肉は細り、関節は錆びついて、柔軟性は完全に失われている。慌てて鍛え直そうものなら、トレーニングで怪我する有様だ。まあ、何時かは朽ちる身と開き...