2021-07

趣味

2.ボルダリング

いつも通り、何もする事が無い休日だ。車で徘徊していると、古い馴染みのビルに意外な看板を見つけた。『ボルダリング』と、表記されている。こんな所でやっているなんて聞いた事が無い。何かの間違いだろうと思いながらも、一応、立ち寄ってみる事にした。二...
その他

2.たぬき

それは、キンモクセイが香る秋の夜だった。体を動かすには、良い季節だ。日課の自転車通勤で、終業後、心地よい風に吹かれながら、何時もの道で家路に着いていた。既に、夜の帳は下りている。田舎の道は細く暗い。街灯も疎らで、道中は自転車のライトを頼りに...
半生

3-①.青年期

砂で薄汚れた木の下駄箱へ、真新しい靴を放り込む。初登校日である。中学校までは、小さい頃からの幼馴染ばかりで、気心知れていたが、今日からは違う。周りの威圧的な髪型や制服に気圧され、『初めの一歩』は完全に出鼻を挫かれてしまった。教室に入り、自分...
仕事

2-②.一般職員(録)

生まれて初めて、花束を貰う。特に嬉しいものでは無い。4年間の修業期間を満了し、転勤となる自分への送別会が開かれていた。着慣れぬスーツにネクタイで、先輩・上司から激励の言葉を掛けられる。公私共に散々、ご迷惑をお掛けした身として、最後に何を言わ...
生活

1-③.離別編

差出人が明記されてない、一通の封筒が届く。最初に見つける事が出来たのは、幸運と言う他ない。その内容は、到底、妻に見せられない内容だった。『あなたは、しては行けない事を、やってしまいました。私達の関係は、もう親でも無ければ子でもありません。こ...