3.ロードバイク

趣味

そのフォルムを見た瞬間、『美しい』と感じた。

初見は、知人の『ピナレロ』と言うメーカーの車種だ。無駄を一切省いた流線形で、個性的な形状であり、カラーリングもセンスが良く、何時まで眺めても、飽きが来なかった。そして、このロードバイクは、有酸素運動の代表格であり、肥満解消・体力増強効果は高い。自重を掛けず、回転運動を行うため、関節への負担が少ない事もメリットの一つだ。丁度、運動不足解消に適したスポーツを探していたため、即座に飛び付てしまった。

しかし、購入となれば、妻に『立案』を通す必要がある。取り敢えず『ピナレロ』の値段を確認したが、直ぐに『無理』である事が判明する。当時でも『40万円』を超えていた。まあ、そうだろう。如何にも、高級感溢れているのは、一目瞭然だった。新たな『夢』を抱えつつ、妻帯者に優しい物件を再検索する。

そして、最終候補として挙がったのは、『GIANT』の『DEFY』シリーズだ。その一番下のグレードは、10万円を切っていた。仕様も初心者向けで、外観もシンプル且つ、格好良い。

『これだ』

車種に目途を付け、拝み倒しで『必要経費』として、何とか購入に成功したが、その他、最低限必要な物として『ヘルメット』、『シューズ』、『手袋』、『ウエア』、『レーシングパンツ』、『サングラス』等があり、結局、小遣いを叩く羽目になった。人目に触れるスポーツのため、実用性とお洒落のバランスは中々、難しい。

 

さて、納車の日となった。組み上がった愛車は、やはり『格好良い』。持ち帰り、早速、試乗する。勿論、ポジション等の確認もあるのだが、ロードバイクは『ペダル』と『シューズ』を固定して走行する。それによって、引き上げる力も動力に変える理屈だ。まずは、ここに慣れが必要なのだ。初乗りでは、信号待ちで停車した際、足が固定されている事を『失念』し、転倒。まあ、最初の頃は『お約束』だが、『事故』に繋がらない様、十分注意が必要だ。慣れて来ると、通常の自転車では、有り得ない推進力に気分爽快だ。同じ回転数でペダルを漕いでいると、足が勝手に廻り出す感覚も面白い。自分を追い詰める事が好きな『ドM』の自分には、向いてるスポーツと実感した。

一人始めれば、周囲にも影響が広まるもので、いつの間にか、『プチブーム』が起きていた。人数が揃えば自然と『ツーリング』でも行ってみるかと、話が持ち上がる。白羽の矢が立ったのは、『瀬戸内しまなみ海道』だ。日本でも有数のサイクリングスポットであり、満場一致で実行に移された。

当日、晴天に恵まれ最高のサイクリング日和だ。道路は自転車用に整備されたかの様で、恐ろしく走行し易い。島々を繋ぐ道を心地よい海風に吹かれて、綺麗な景色を眺めながらマイペースで走り、昼食は道の駅で『レモンラーメン』に舌鼓みを打つ。目的地の宿まで、走行距離100㎞を達成して、最高の充実感を味わった。惜しむらくは、その周りに『居酒屋』が少なく、打ち上げの場所を探すのに苦労した点か。次の日は全身筋肉痛で、折り返しを船で帰宅とオチも付いたが、また何時か、次こそは往復走破を目指したい。

 

二輪車は気候や季節の関係上、一年中楽しめるものでは無いが、安全第一で、適度に嗜んで行きたい。因みに、プロレーサーには、『スプリンター(短距離が爆発的に速い)』、『ルーラー(長距離を一定のスピードで走り続けられる)』、『クライマー(上り坂が得意)』、『オールラウンダー(全てを熟す)』等のスタイルがあり、『エース(最後に順位を決める)』、『アシスト(エースをトップにするため、献身する)』と、二つの役割がある。自らを自己分析すると、敢えて言うなら『ルーラー』の『アシスト』に適正がありそうだ。

やはり、趣味は『生き様』が反映され易い事を感じる、今日この頃である。

以上