その他

6.待ち人

昭和の通話手段は『電話』しか無かった。 今思えば、これは物凄い事だ。家族と共用で子機も無く、プライバシーもへったくれもない。電話線が届く範囲で影に隠れ、声を潜めて会話するのだ。家に居なければ『音信不通』となり、生死も分らない。待ち合わせとな...
趣味

6.ウインタースポーツ

悴む寒さを覚えると、冬の雪山を思い出す。 若かりし頃は、粉雪が舞い始めると気持ちが高揚したものだ。倉庫より、埃が被った道具を持ち出し、ワックスを掛けて積雪を待つ。自分の『入り』は『スキー』だ。ゲレンデは比較的近隣にあったが、始めたのは20代...
生活

1-⑥.離別編

この一週間は、全てが上の空で過ぎ去った。 妻より『三行半』を突き付けられ、底知れない落胆の中、週末を迎える。取り敢えず結論は先送りで延命したが、敗色濃厚の展開に、家へ帰る足取りは殊更重かった。 『ただいま』 何時もは、強いて言わない。 『お...
仕事

2-⑤.一般職員(録)

『お願いがあります』 後輩から突然の申し入れだ。 当社には、零細ながら『組合』がある。その頃、自分はこの組織にまるで興味が無く、会費だけ収めて、行事には強いて参加しない『幽霊』組合員だった。当組に『専従』は無いため、殆どの活動は『ボランティ...
半生

3-④.青年期

『俺は彼女をつくる!』 仲間の一人が、高らかに宣言した。 やはり、思春期の男子生徒における『一大目標』はこれだろう。ましてや『男子校』だ。その難易度は『共学』に比べれば、大きく跳ね上がる。その日以来、彼は他校の女子生徒と知り合う度に『無謀』...
その他

5.小話集-①

何気ない日常でも、時には心に残る出来事が起きる。その第一弾をご紹介する。 【ATM】 何時も贔屓にしている銀行の『ATM』に、とある『特殊詐欺』対策が施された。それは、店の出口側に設置された180cm台の『警察官』パネルが、訪れたお客さんに...
趣味

5.勝負事

漢は勝ちたい。 自らの、まだ見ぬ『才能』を探求し、人生を彷徨い歩くのは漢の常だろう。当然、自分も例外では無く、未だ『片鱗』にすら辿り着けず『凡才』を嘆く日々だ。特に『人』を相手に勝利したい。選択する勝負事は『対人』である場合が多く、長続きす...
生活

1-⑤.離別編

『予想外の一言』では無かった。 妻はその言葉を発した後、俯き、頭を抱えたまま無言となった。自分も二の句が継げず、重苦しい沈黙の時間が流れる。初手を誤れば一気に傾き、終わるだろう。だが、この状況を打破しなければ、何も進まない。慎重に言葉を選び...
仕事

2-④.一般職員(録)

只、ひたすらに、目先の事を追うので精一杯だった。 山積する業務の対応が追い付かぬまま『新規事業』の主査をする状況になってしまった。誰も経験が無い未知の領域だ。ましてや、新参者が受け持つのだ。自分のみならず、部署全体で大きな不安感が漂っていた...
半生

3-③.青年期

『テーブルトーク』というゲームがある。 週末に大勢が集合した時は『テーブルトーク』と相場が決まっていた。このゲームは、ストーリーが描かれたルールブックを基に『マスター』と呼ばれる進行役が、己の発想と機転で『冒険者』を独自の世界へ導き、クエス...