その他

4.桃源郷

ストレスと老廃物は溜まるものだ。 転勤先では『ウォーキング』が、ストレス解消法だった。昔から、自分に都合の良い妄想をして歩くのが最高の気分転換であり、更に『足ツボ』マッサージで疲れを癒し、心身共にリフレッシュするのが、ささやかな『楽しみ』で...
趣味

4.バンド

『バンドやろうぜ!』 十年越しの念願である。 『轟音』の初体験は文化祭だ。偶々、暇潰しで見に行ったバンド演奏で大きな衝撃を受ける。『ズダダン!』『ヴァァアン』『ボンボボン』リハーサルの音合わせを聞き、度肝を抜かれてしまった。 平静を装ってい...
生活

1-④.離別編

随分と久方振りの一人暮らしだ。 他県へ転勤となり、一ヵ月が過ぎようとしていた。この期間は仕事に追われ、自分の事で精一杯であり、家庭を顧みる余裕は無かった。妻も一人で、仕事・家事・育児に忙殺される毎日だった。 この転勤は、双方決して口に出す事...
仕事

2-③.一般職員(録)

新たな職場は、今迄とは違い、一種異様な緊張感があった。 オフィスは静まり返り、雑談の欠片も無く、各々がパソコンに向って、何かに追われるが如く集中している。邪魔をしない様に足音を殺し、『課長』の前に歩を進めた。 『失礼します。本日から、宜しく...
半生

3-②.青年期

あのゲームセンターで起きた、様々な喧噪の日々は、今も尚、強く記憶に残る。 当時、『ゲーセン』と言えば、『ヤンキーグループ』の溜まり場となるのが通常だ。しかし、その聖域に集うのは、我ら『オタッキー軍団』だった。しかも、学校の『ヒエラルキー』最...
その他

3.千点棒

何時もとは違う、珍しい面子で卓を囲んだ。 高校時代は、週末となれば親友の家に赴き、離れの納屋で屯する事が通例だった。集まった人数で、遊びを決めるのがお約束であり、4人以上揃えば、大体『麻雀』に興じる場合が多かった。 連休初日の土曜だけに、思...
趣味

3.ロードバイク

そのフォルムを見た瞬間、『美しい』と感じた。 初見は、知人の『ピナレロ』と言うメーカーの車種だ。無駄を一切省いた流線形で、個性的な形状であり、カラーリングもセンスが良く、何時まで眺めても、飽きが来なかった。そして、このロードバイクは、有酸素...
生活

1-③.離別編

差出人が明記されてない、一通の封筒が届く。 最初に見つける事が出来たのは、幸運と言う他ない。その内容は、到底、妻に見せられない内容だった。 『あなたは、しては行けない事を、やってしまいました。私達の関係は、もう親でも無ければ子でもありません...
仕事

2-②.一般職員(録)

生まれて初めて、花束を貰う。特に嬉しいものでは無い。 4年間の修業期間を満了し、転勤となる自分への送別会が開かれていた。着慣れぬスーツにネクタイで、先輩・上司から激励の言葉を掛けられる。公私共に散々、ご迷惑をお掛けした身として、最後に何を言...
半生

3-①.青年期

砂で薄汚れた木の下駄箱へ、真新しい靴を放り込む。 初登校日である。中学校までは、小さい頃からの幼馴染ばかりで、気心知れていたが、今日からは違う。周りの威圧的な髪型や制服に気圧され、『初めの一歩』は完全に出鼻を挫かれてしまった。 教室に入り、...